社会学演習VC(2002/07/04)
統計資料について
下村 恭広
1.統計資料を活用するにあたって
国が作成する全数調査の中で市区町村レベルの集計が公開されているものは限られている。ここでは以下の四つの統計資料は押さえておきたい。これらは区市町村レベルでの報告書として手に入れることができ、町丁目単位での集計結果も出ている。
■総務省作成(総務省統計局統計センターhttp://www.stat.go.jp/ )
○国勢調査
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/
○事業所・企業統計調査(旧「事業所統計調査」)
http://www.stat.go.jp/data/jigyou/
■経済産業省作成(経済産業省の統計http://www.meti.go.jp/statistics/index.html )
○工業統計調査(西暦の一桁が0,3,5,8の年のみ全数調査)
○商業統計調査
※中央官庁がそれぞれどのような統計調査を実施しているのか、またそれを利用するにあたっての手引きなどについては、木下滋・土居英二・森博美編『統計ガイドブック――社会・経済(第二版)』(大月書店, 1998年)を参照されたい。
2.地域間比較に有用な統計的指標はどれか
以上の統計資料から地域間を比較するのによく使われている指標は以下のとおりである。ここでは大雑把に(1)産業の構成、(2)人口・世帯の構成、(3)就業状態の構成、の三点に分けて整理してみた。
(1)産業の構成
■工業
□各地区ごとの工場数、従業者数、製造品出荷額、一工場当たりの従業者数、一工場当たりの製造品出荷額、従業者一人当たりの製造品出荷額
□業種ごとの工場数、一工場数当たり従業者数、製造品出荷額
□各地区の規模別工場数
□各産業の規模別工場数
⇒工業統計
■小売業
□各地区の規模別小売業商店数
□業種ごとの商店数とその構成比
⇒商業統計
(2)人口・世帯の構成
■地区別の種類別世帯数(単独、夫婦と子ども、夫婦のみ)とその推移
■地区別の年齢構成別居住者数(14歳以下、15〜64歳、65歳以上)とその推移
⇒国勢調査
(3)就業状態の構成
■就業者の産業別構成とその推移
常住地ベースの統計:その地域に住んでいる人の産業別構成
⇒国勢調査
従業地ベースの統計:その地域で働いている人の産業別構成
⇒事業所・企業統計調査、国勢調査の従業地・通学地集計結果
■就業者の職業別構成とその推移
⇒国勢調査
■就業者の「従業上の地位」の構成とその推移
⇒国勢調査
※各種分類について
○産業分類
就業者について調査週間中、その人が実際に仕事をしていた事業所の主な事業の種類によって分類したもの
日本標準産業分類http://www.stat.go.jp/info/seido/9-1-14.htm
第1次産業:A農業、B林業、C漁業
第2次産業:D鉱業、E建設業、F製造業
第3次産業:G電気・ガス・熱供給・水道業、H運輸・通信業、I卸売・小売業,飲食店、J金融・保険業、K不動産業、Lサービス業、M公務(他に分類されないもの)
○職業分類
就業者について調査週間中、その人が実際に従事していた仕事の種類によって分類したもの
日本標準職業分類http://www.stat.go.jp/info/seido/9-2.htm
I農林漁業関係職業:G農林漁業作業者
II生産・運輸関係職業:H運輸・通信従事者 I技能工, 採掘・製造・建設作業者及び労務作業者
III販売/サービス関係職業:D販売従事者、Eサービス職業従事者、F保安職業従事者
IV事務・技術・管理関係職業:A専門的・技術的職業従事者、B管理的職業従事者、C事務従事者
○従業上の地位
就業者を調査週間中その人が仕事をしていた事業所における地位で分類したもの
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/guide/3-04.htm#pos4
雇用者:会社員・工員・公務員・団体職員・個人商店の従業員・住み込みの家事手伝い・日々雇用されている人・パートタイムやアルバイトなど,会社・団体・個人や官公庁に雇用されている人で,以下にいう「役員」でない人
役員:会社の社長・取締役・監査役,団体の理事・監事,公団や事業団の総裁・理事・監事などの役員
雇人のある業主:個人経営の商店主・工場主・農業主などの事業主や開業医・弁護士などで,雇人がいる人
雇人のない業主:個人経営の商店主・工場主・農業主などの事業主や開業医・弁護士・著述家・家政婦などで,個人又は家族とだけで事業を営んでいる人
家族従業者:農家や個人商店などで,農仕事や店の仕事などを手伝っている家族
家庭内職者:家庭内で賃仕事(家庭内職)をしている人